2010年 07月 17日
ナタ友
深夜のスーパーに行った。
高級トイレットロ―ルを買うためだ。
トイレットペーパーの百檀の香りに、束の間の癒しを求める女、それはたたみ。
精を付けようと、うなぎでも買おうとしたのだが、
見ただけで吐き気がした。
仕方なく、フルーツジュースやレトルトのポタージュなど買って帰る。
マンションに着いた時、
あ、今ここに『ナタ男』がいても全然怖くないな、と思った。
感情の何かがマヒしてるのか、振り切ってしまっているのかはわからない。
ナタ男に屈託無く、
「あたしにもやらせてください」とか言って、
おぼつかない手つきで真似して植え込みを切り付け、
「けっこうチカラいりますね」とか言って。
その後は、一緒に階段に腰かけて、ナタ男の話を聞くかもしれない。
「世の中、結局口の達者な人が生き残るんですかねぇ」なんて言いながら、
もらいタバコなんかするかもしれない。
じゃ、またそのうちナタりましょう、
なんてお互いの部屋に帰ってゆく二人は、
男も女も関係無い、ただの弱き人間同士だ。
ただし、最初の時点でナタ男に歓迎されなかった場合、
シーンは一瞬にしてB級ホラーとなるだろう。
マイバッグを持った私は、
おでこの真ん中にナタをきれいに食い込ませたまま、
目を見開いて後ろに倒れる。
まあ、それもまた良し。
by reishibakusa
| 2010-07-17 02:13