2011年 08月 20日
臼庭潤という音楽家のこと
やっぱりいろいろ書きたくなってしまった。
会うまでは、と思ったんだけど。
一緒にバンドやってた頃、リハーサルなんかのあと、
帰りが同じ方向で、私はまだジムニーに乗っていて、
彼は運転しないから、
しばくさ、悪いけどいい?いいよ、乗っけてくよーとか言って、
運転席と助手席で、よくバカ話しながら帰った。
学生時代から知ってたし、ほぼ同い年だった事もあってか、(彼は私の一ヶ月くらい年下)
話しやすかった。
うまいとんかつ屋あるんだよ、食ってかねえ?って言われて、
案内されて入ったとんかつ屋さん、最高においしかった。
(あれどこ?)
あのさ、ソースじゃなくて最初は塩で食うんだよ。
ほんとだ、塩、うまいねー。
ここのオヤジさんさ、軽〜く”ターブー”(豚のこと)の祟り入ってねえ?
って小声で、
そんな、目の前にいるのに、笑っちゃって困ったじゃんか。
音楽の話あまりしなかった。
わたしが音楽いろいろ知らないから、おそらく相手にならなかったんだと思う。
「でもオレ、しばくさのプレイ好きだよ。
きらいなところもあるけど」
「あー、わかる気がする、そのきらいなところ」
グルーヴ、という言葉にはいつもなんとなく照れてしまうのだが、
彼のサックスのソロ、すごいグルーヴ感だと思う、
まわりの演奏があっても無くても、いや、むしろ無ければ無いでたぶんさらに。
身体全部がリズムみたいな感じだった、弾んでた。
そして硬派、メロディアス、情熱、ナイーブ、男気、感傷。
白熱して来ると、なのか、
何かの彼なりのタイミングなのか、
アドリブソロの最中に、すとん、と身体を落とす瞬間がある。
あれは、Rhodes弾きながら見ていて実に小気味良かった。
一音たりとも気を抜かずにぐいぐい進めて行くからいつもおもしろくて。
語彙豊かだから、展開にバリエーションがある。
サックスを吹く事に対して、いったいどれだけ真面目なのかと。
どんなに真剣に考えているのかと。
自分、歌の活動がだんだんおもしろくなってしまって、
キーボードプレイヤーとしてのセッション的な現場から遠ざかって行き、
彼とも疎遠になって行った。
それでも数回だけ、電話で話したかな。
不義理しちゃって。
会いに行くけど、なんだよしばくさかよ、今さらーって思わないでね。
いろいろおもしろい話あるけど、
勝手にペラペラしゃべんなよ、って怒られそうだからしまっとく。