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柴草玲(しばくされい) Tango de SA-GE-MA-N.

うっとり&深夜の殺意



昨日の夜の事、
とある素敵なコンサートを観た帰り、時間がちょっと遅くなってしまった。
タクシー代ももったいないし、
25分弱、駅から家まで歩く事に。

古い横町近く、人気の無い細い路地、
向こうからキャップをかぶった男が歩いて来る。

道の同じ側を歩いて来てる、このままではすごく近くですれ違う事になる、と、
道幅は狭いながらも反対側にさりげなく移動、
すると、男も同じ側に移動して来るではないか。
え?と思い、
もう一度元々歩いていた側に戻ると、ヤツもサッと同じ側に来る。
しかも速度が増している。

これはなんかヤバイのかも、と、
立ち止まり、咄嗟に、手にしていた傘をぶんぶん振り回す。
自分の持てる力の限り、高速で振り回す。
男、一瞬、止まる。

振り回す手はそのままで、わたしはゆっくり歩き出す。
男も歩き出し、何気ないそぶりでわたしの反対側に渡る。

そのままお互いの距離は近づいてゆく。
わたしは手を止めず。
何かあったら、傘の先で相手の目を刺そう、
うまく刺せるだろうか、と真剣に考えていた。

男といよいよすれ違う。
すれ違いながら男は、
キャップの中にまるで虫でも入っていたかのように、
立ち止まって、わざとらしく一度キャップを脱いで少し振ってみせた後、
再び歩き出す。
わたしは、傘を振り回す手をゆるめず、
時々アスファルトにばんばん打ち付けてショボ〜い威嚇をしながら、
男から目を離さず。



そのまま注意深くすれ違って、十数メートル離れたのをちらちらと確認し、
傘を回すのをようやくやめた。
最後に改めて振り返ると、ヤツもなんと振り返ったまま立っていた。
わたしは再び傘を高速回転させながら、
じっと相手の方を見ていた。
しばらくして男は去った。


暗がりだったから、うっかり若い「むしゅめしゃん」とまちがえたのか、
それともひったくりか。


ああいう緊張感は久しぶりであった。
その後、家まで辿り着く途中、
傘で刺す場合は、目か、それとも股間を狙った方が良いのだろうか、
やっぱり目かな、うん、目だな、
と暴力的な妄想にふけった。
ちょっと興奮した。


......自意識過剰だと思われてもいいけど、あの男はどう見ても挙動不審だった。
でも、本当は不審者でもなんでも無くて、
後日逆に、「傘振りババア」のウワサがご近所で流れてたら、
それはそれで笑うが。


ところで、この夜行ったコンサートはコシミハルさん。
大ファンなのだ。
もう、うっっっっっっっとりでした。
ひたすら我が道を突き進んでいらっしゃる気高きお姿。
確固たる音楽の根っこと技術、優雅なストイックさ、
ステージ細部のこだわり。
そして、何よりめちゃくちゃキュート。
危うい少女みたい。
素晴らしい時間だった。
フェビアン・レザ・パネさんのピアノも美しかった。
細野晴臣さんも一瞬登場で、感激。
細野さんて、年齢と共になんであんなにかっこいいの、、、。



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by reishibakusa | 2012-10-15 22:00