2012年 12月 17日
ノエル2012記録:Ⅲ〜大まかな流れ編(下にすごく長いです)
『12/15 The 1633 tokyo ~婦人・ド・ノエル 2012~』構成
※セットイメージ:さびれた教会(・のような場所):真夜中〜夜明け
・センターにざんげ(お祈り)台
・ステージ後方、本を積んで棚板乗せ、上には大量のピラーキャンドル&燭台(祭壇のような感じ)
・小さな鐘をつり下げる
・古いトイピアノ(アップライト型)の上に何冊かの本
・古い丸椅子ふたつ(演奏者用)
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~聖職者(・のような男/四家卯大)が登場・静かに独奏を始める。
アコーディオンを背負った女(婦人・ド.ノエル/柴草)が町をさまよっている。
壁にぶつかっては向きを変え、向きを変えて歩いては壁にぶつかり、
そうこうしているうちに、男がいる教会(・のような場所)に辿り着く。
中にうまく入れずに壁にぶつかり、ぶつかったまま、前へ進もうともがいている。
その様子に気付いた男が、自分のテリトリーへ女を招き入れたところから、
波乱の一夜が始まる。
気位の高そうな女はだまっている。
男はとまどいながらも「どうかされましたか?」というようにチェロで話しかける。
女少しだけ反応。
さらに、チェロで「どうしたの?」少しだけ反応。
どうしたの?少し反応。
女はいきなりざんげ台にすがって何か言おうとするがなかなか言い出せない。
言えないので、狂ったようにアコーディオンを弾き出す。
チェロがなだめる。
やがて穏やかなチェロにいざなわれるように、歌で告解を始める女。
1、「指の中」
歌い終わった女に、男は、さとすように、しかし厳粛に、本を一冊手渡す。
(※同時に映像出し→本タイトル:『婦女子と貞淑』)
女は、罪深き自分をわかっているつもりでも、渡された本に何か違和感を感じている。
求めている救いはこういう事ではないような気がする。
男の様子をうかがう。
何か憎めないものがある。
そーっとざんげ台のカーテンを開けてみる(男、ピシャっと閉じる)。
また開けてみる。(男、ピシャっと閉じる)
頑なに女を拒む男。
ふたたび狂ったようにアコーディオンで叫び出す女を、男のチェロがなだめ、
呼吸を整えた女は、告解の続きを始める。
2、「アクアリウム」
歌い終わった女に、男が本を一冊手渡す。
(※同時に映像出し→本タイトル:『婦女子と貞操』)
またしても違和感を感じる女。
そして、さきほどと似たようなやり取りを繰り返すふたり。
男は、女をさとしはするものの、頑なに距離を保つ。
女はさらなる告解を。
3、「フラメンコ書き初め」
歌い終わった女に、男が本を一冊手渡す。
(※同時に映像出し→(本タイトル:『身の丈』)
今度はしみじみと納得する女。
ふと、男の蔵書に興味を持ち、隙をついて、中から一冊抜き出す。
(※同時に映像出し→(本タイトル:『金子光晴詩集』)
意外な本に、おどろく女。
気付いた男は慌てて本を取り戻そうとするが、女は本を離さない。中身を開いて~
4、「愛情4/(詩:金子光晴)」〜さわりだけ〜
エロティックな詩の内容に、にやりと笑う女。
きまりの悪そうな男。
からかうように男を挑発し始める女、
男、断固拒否、
アコーディオンとチェロのからみ、
カーテン、開け、締め、
男と女のせめぎ合い。
女は告解と言うよりも、今度は気軽に自分の事を歌い始める。
5、「たたみちゃんのテーマ」
どんどん年を取ってゆくくだりを取り憑かれたように繰り返す女に、
男が本を一冊手渡す。
(※同時に映像出し→本タイトル:『加齢礼賛』)
本の題名におおいに納得している女が、表紙の不自然さに気付く。
表紙カバーを取ると、中から出て来たのは、
(同時に映像出し→本タイトル:中身は本当は『乱交の文化史』)
本の中身を知って、女はすっかり調子に乗り、
あからさまに、本格的に色仕掛けを始める。(ドレスをまくって脚を見せる、自分がかじったリンゴを無理矢理食べさせようとする、など〜)
男、断固拒否、もうひたすら拒否。
挑発するように、吐息まじりで、
ラ、ラ、ラ、と歌い始める女。
6、「ラブ・ドール」
(〜男にしつこくまとわりつきながら〜※ハンドマイク)
女、歌いやめない。挑発はエスカレートしてゆく。
たまりかねた男は、はげしくチェロを弾き始める。(ゴーシュの”虎狩り”のシーンのように)
やがてなだれ込むように次曲へ~
7、「雪」
8、「あじさい」
音でついつい熱くからんだ二人の心の距離は、急速に少し縮まっている。
何かの情が生まれた。
カーテン、脚見せ、リンゴ、のやり取りのシーケンス。
頑なに拒否していた男の態度が、だんだん緩んで来る。
やがて女は、ざんげ台のカーテンの隙間から、すがるように男に手を差し出す。
真剣な女。
葛藤する男。
男はついに、思わず手を握り返してしまう。
ロマンチックとも言える束の間の沈黙のあと、
女、ふと我に返り、男の手をふりほどく。
混乱する男。
女は自分の忌まわしい性分を思い出した。
だめよ、わたしに近づかないで、
わたしに関わってはだめなの、
なぜならわたしは、わたしは、
(*CDオケ出し)
女、男に近づいては離れ、近づいては離れ、
苦悩しながら、
音のクライマックスに合わせて上着を脱ぎ、
背中と両腕に大きく刻まれたタトゥーを見せる。
驚愕する男。
9、「さげまんのタンゴ」(シベリア&クリスマスベルバージョン:※ハンドマイク)
突然起こった強い逆風(扇風機)と猛吹雪(紙)の中で自分の身の上を歌う女。
曲終わりあたりで、男、呆れと恐れで、自分の教会から逃げようとする。
ちがうの、最後まで話を聞いて、
長い目で見るとちがうの、と必死で引き止める女。
すがる女を振り切り、とうとう男は出て行ってしまう。
(*映像&さらにCD出し~)
映像の中、タトゥーもなく、翼の生えた女が後ろ向きで現れる。
映像の中の自分の分身と重なりながら、ゆっくりと踊る女。
やがて、分身の翼が片方落ちて、
女は静かに悲しみのアリアを歌い始める。
(※CD出し〜)
10、「造語のアリア」
取り残された女は、
さきほどの「金子光晴詩集」を、なんとなく手に取り、ピアノへ向かう。
11、「愛情4」さわりから〜「愛情69」(詩:金子光晴)
12、「金魚」
〜いつしか、男がふらふらと戻って来る。
服装が乱れている。
彼の中で長年培われて来た、何かの戒律は壊れてしまった。
冒頭の女のように、壁にぶつかったまま歩こうともがいている。
女は男に駆け寄る。
男はぶっきらぼうに、しわくちゃの紙袋を女に渡す。
袋から出て来たのは"ト音記号"。
女は、男が戻って来てくれた事が嬉しくてたまらない。
自分の古びたかばんから、"へ音記号"を取り出して、男に差し出す。
それぞれ交換した"ト音記号"と"へ音記号"を大切に祭壇に供える。
何かを理解し合った二人。
男はチェロを取り、女は再びピアノへ。
13、「ドビュッシーのチェロソナタ:ニ短調/第一楽章」(Claude Achille Debussy)
演奏を終えて、お互いにしっかりと向き合って丁寧なお辞儀をする二人。
〜この二人がその後どうなったのかは誰も知らない。
そして怒濤のフィナーレへ。
14、「宴」
15、「靴の詩」
16、「会話」
17、「精霊たちのえくぼ」~(エンディングでプロジェクター出し:柴草・自己との会話)~「きよしこの夜」
~本編終わり
~アンコール
*「一人の第九」
四家さん呼び込んで、
*「前山にて」
~ダブルアンコール
*「松が峰教会」
(お写真提供:小柳氏)
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実際の構成表は、もっと簡素なもので、
曲順、ふたりの基本的な動きの断片、
音響、映像の段取り、と、
最低限の事しか書いてありませんでしたが、
四家さんの見事なリアクションによって、
いろいろな要素が引き出され、
小芝居はお互いに即興的にどんどんエスカレートしてゆき、
物語はここまで膨らんだのでした。
改めて四家さんは、「仕草」「ジェスチャー」のとても上手な方なんですね。
もう、恐れ入りました。
そして状況を把握してくださるスピードが恐ろしく速い。
それから、なんと言っても、チェロが相変わらず本当に素晴らしくて。
温かさと深さ、柔軟さ、切なさ、根底に流れている確かな技術。
わたしはずーっと感動してました。
小芝居にも秘かにかなり期待していましたが、
やはり、素晴らしいチェリストとして、今回ご一緒させて頂けて嬉しかったです。
こんなに素晴らしい演奏家に小芝居までさんざんやらせてしまって、、めんぼくない。
、、いやー、でも、ほんと楽しかった。
四家さん、たった一回のリハーサルで、
ほぼぶっつけのような強引なステージに付き合ってくださって、
どうもありがとうございました。
そして、毎年お願いしているPAのまいさん、照明のやりたさんにも、
わたしが前日までしつこく試行錯誤していたために、
構成表の決定稿をお渡ししたのは、
結局ほとんど当日になってしまって、、めんぼくない!
それなのに、あんなふうに見事に対処してくださったのでした。
すごいなあ。
どうもありがとうございました。
四家さんとご一緒できるなら何かクラシック曲をやろう!
と選んだのが、ドビュッシーのチェロソナタでした。
ええ、猛練習しましたとも。(私が)
それから、「造語のアリア」は、
以前、映画のために作ったピアノ曲に、
新たに歌の旋律をつけて、
まずは原詩を書き、ネット翻訳を駆使して英語直訳からイタリア語直訳にこぎつけ、
最後に、語尾などを発音しやすい音に好き勝手に変えたりして仕上げたものです。
これをやるにあたって、いろいろな方に相談し、
ご助力頂きました。
この場を借りて、お礼を申し上げます。
気持ちが昂って昂って、
本番では、かなり歌に力が入ってしまった。
もともと、歌唱技術とは無縁の自分、
これだとステージ半分くらいしか持たないだろうな、と思いながらも、
コントロールできるような器用さも大人気も無く。
ペース配分、というものを学びたい気もしますが、
できますかどうか、、。
とにかく、進んで行きたいと思います。
開演前のCDは、「バッハ:音楽の捧げもの/カール・リヒター他」
終演後は、「カーラズ・クリスマスキャロルズ/カーラ・ブレイ」
でした。
それから、
お寒い中、開演時間がかなり遅れてしまったことをお詫びいたします。
(ぜんぶわたしが原因です、、ゴメンナサイ)