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柴草玲(しばくされい) Tango de SA-GE-MA-N.


鴨が3匹
お池のほとりにいてね
夕暮れ時
ずっと見ていたんだ
お池のまわりには
おんなじ間隔で
小さな木の杭が打ってあってね
だらんとロープが張ってある
つまり
ちょっとした柵になっているのさ
鴨たちはね
しばらく水に足を浸していたけれど
柵の外の小道を散歩する事にしたらしいんだ
2匹は上手に
ロープの下をくぐるんだけどね
残りの1匹がどうしても
どうしても
くぐれないのさ
ロープにまっすぐ突き進んじゃうんだよ

不思議そうにうろうろしてるばかりでさ
胸の羽毛にロープが食い込んで
跳ね返されて
きょろきょろしてるんだよね
ばっかだなあって思ってさ
ベンチに座ってずっと見ていたよ
だけど!
なんと!
そいつは!
くぐればいいんじゃん!って事に気付いて
うまく柵の外に出たんだよ

仲間と一緒に少しぶらぶらしてさ
池に戻ろうとしたら
やっぱりそいつだけ
もう
忘れちゃってるんだよ
くぐるって行為をさ
きれいさっぱり忘れちゃってるんだよ
戻れないんだよ
ばっかだなあって思ってさ
すっかり暮れた公園のベンチにずっと座ってるアタシも
ばっかだなあって思ってさ
お家に帰ったのさ

今日も
悲しい事件があったね
by reishibakusa | 2008-06-09 00:55