柴草玲(しばくされい) Tango de SA-GE-MA-N.:*婦人・ド・ノエル 2016 記録
2017-02-04T19:00:10+09:00
reishibakusa
柴草玲(しばくされい):1968年4月1日生まれ。自称ミュージシャン。自称たたみ。身持ちは堅い。
Excite Blog
『婦人・ド・ノエル 2016』 全記録。
http://shibakusa.exblog.jp/25274759/
2017-02-03T01:14:00+09:00
2017-02-04T18:49:07+09:00
2017-02-03T01:09:31+09:00
reishibakusa
*婦人・ド・ノエル 2016 記録
→その1はこちら。
→その2はこちら。
→その3はこちら。
→その4はこちら。
→その5はこちら。
→その6はこちら。
→後記はこちら。
(吉野氏作成:特製ノエル婦人アイドルブロマイド)
特製ブロマイドつづきはこちら
↓
「ブロマイドはやっぱりマルベル堂よね」byノエル婦人
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『婦人・ド・ノエル 2016』全記録:後記
http://shibakusa.exblog.jp/25274689/
2017-02-03T01:03:00+09:00
2017-02-04T19:00:10+09:00
2017-02-03T00:15:51+09:00
reishibakusa
*婦人・ド・ノエル 2016 記録
やたらと長くなってしまったノエル’16全記録、
ご覧くださったみなさま、
ほんとうにどうもありがとうございます。
つづきはこちら
↓
四家卯大さん、東條あづささんというすばらしい演奏家と共に今回のノエルを演れたこと、
いろいろと振り返ってみて、改めて感謝しております。
自分の書いた楽譜の数々が、あまりに拙く、かつ、読みにくかったもので、
おふたりには、かなり難儀させてしまったと思うのですが、
(構成の段取りもいろいろあるし)
とても細かくそれぞれに修正してくださり、
本番で見やすいように各々で書き直してくださり、
音楽として成立させることができました。
終始、プロで大人な対応に、恐縮&感謝でいっぱいでした。
東條さんは、本番直前に、
わたしの黒ドレスの袖のほつれを直してくださったりもしたのですよ。
(もうほんとに時間が無くて、ドレスを着用したままの状態で)
ライブ前の演奏家に針仕事をさせてしまうなんて!
しかし、ほんとに助かりました、ありがとうございました。
いろいろ準備は苦戦したけれど、
本番、やっぱりすごく楽しかったなあ。。。
↑当日リハ風景。吉野達哉氏撮影。
本来なら、別に1日たっぷり設けて、
通しリハや、細かいチェックを行うような内容でありながらも、
諸事情により、やはり、
現場スタッフのみなみなさまには、
バクチのような、当日勝負をお願いすることとなってしまい、
いつもほんと申し訳ない限りなのですが、
凄まじい集中力と瞬発力で、さすがの対応をしてくださいました。
(あとから写真を見て、あのアンコールの月、感激しました、、)
そもそも無理を言って、
通常より相当早くお店を開けていただき、全員会場入りしていただくのです。
恵比寿.switchのみなさまには、
頭が上がらないです、本当に感謝です。
そして、あの名作映像の数々は、
「さげまん〜」映像でもお馴染みの、吉野達哉氏制作です。
自宅で自撮りし、吉野さんのお仕事場におジャマしてデータを取り込んでいただき編集、、
という方法を繰り返しながら進めていったわけですが、
例えば、わたしが、真剣だけれどどうにもわかりにくい説明を1コしたとすれば、
吉野さんは、10コくらい、あっという間に汲み取ってくださり、
さらに、独特な世界を広げてくださるのです。
相当タイトながらも、とにかく爆笑を交えながらの本当に楽しい作業でした。
完成データで、桜が散るシーンを初めて見たときは涙出た。
ライブ演出のための映像でありながらも、そのままDVD作品にしたいくらいです。
(撮影現場はこんな感じ。自宅です。
吉野さんからお借りした、合成用の布を貼って、
家庭用ハンディカムでひとつひとつ撮っていくわけですが、
今年も、露出やらピントやらをやっぱりぜんぜん使いこなせませんでした、、。
しかし、すべてよしなにしてくださいました)
映像の合間のナイスコラ画像制作は、
フライヤー&チケットをいつも作ってくださっている、小柳和久氏でした。
今回、テーマに「オペラ」「マリア・カラス」というキーワードがあったため、
コラ画像のボディ部分は、すべてカラスでいこう、ということになりまして。
なんとも絶妙な強引な縮尺、
けれど、かなり細かい職人技と”シャレ”(←ここがほんと大事)を効かせてくださって、
準備期間中、画像を送っていただくたびに大ウケして、
疲れが一瞬ふっとんでましたから。
(カラスは体格が良いから、
わたしの顔が乗っかると、なんだか妙なバランスになるわけです。
しかしひとつひとつの画像、
素人の自分にわからないところで相当に細かく手を加えてくださっているのです。
おそらく、万が一のクレームが来ないような配慮などもしてくださっていると思われ、、。
これぞまさに職人技です)
そして、準備から本番までのすべてのフォロゥ、
毎年ノエルは全面的にお世話になっている、
まきのさんがいろいろと骨を折ってくださいました。
あの、ピアノからこぼれる大量の美しい花びらも、
助っ人のぺえさんと共に、つくってくださいました。
あのピンク色は、あとから写真で見てほんとに感動したなあ。
今回のノエル婦人の衣装、
最初の白いバージョンは、古着のネグリジェやレース生地などを縫い合わせて作りました。
白いヘッドドレスも、ネット生地を2種類組み合わせた手作りです。
あと今回、何気に活躍してくれたのが、
以前買ったものの、出番がいまひとつ無かった縦ロール部分ウィッグ。
(前半、ノエル婦人の妄想映像の中では、いつものおかっぱウィッグと合わせて、こんな風な髪型になっていたわけです。役に立ってヨカッタ)
衣装のことをああだこうだと考えるのは、どんなに寝不足だろうが、いつも、本当に夢の広がる楽しい行程です。
物販では、四家東亜子さんもお手伝いしてくださって感謝でした。
(フライヤもたくさん配布してくださいました)
最後に、終演後の集合写真をもう一度アップして
(もうけっこういい時間だったため、東條さん帰られてしまったあとなのですが、、)、
乱文ながら、締めくくりたいと思います。
改めまして、
今回もお越しくださったすべてのみなさま、
がんばってね、と声をかけてくださったみなさま、
関わってくださったすべてのみなさまに、
心からの感謝を。
ほんとうにどうもありがとうございました。
、、、毎回毎回、ノエルを終えると、
数々の新たな課題を抱えながらも、心身空っぽになり、
次回を開催することなど、実は微塵も想像できないのですが、
やっぱり、この公演は、
許される限り続けていきたいな、と思っています。
さらにばかばかしく、あわよくば美しく。
精進します。
最後まで、お読みくださった稀有な紳士淑女のみなさま、
どうもありがとうございました。
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『婦人・ド・ノエル 2016』全記録 (その6):最終回。
http://shibakusa.exblog.jp/25274488/
2017-02-02T23:30:00+09:00
2017-02-02T23:30:22+09:00
2017-02-02T23:02:10+09:00
reishibakusa
*婦人・ド・ノエル 2016 記録
→その1はこちら。
→その2はこちら。
→その3はこちら。
→その4はこちら。
→その5はこちら。
チェロと、トロンボーンと、ノエル婦人の声による、
牧歌的な三重奏ののち、
M13 「精霊たちのえくぼ」
エンディング間近、
スクリーンに、”しばくささん”が現れる。
「ねえ しばくささん」
「なに?しばくささん」
つづきはこちら。
↓
「わかるわ、その感じ」
「わたしはあなたで」
「あなたはわたしだから」
「このうえなくばかばかしく」
「あわよくば、うつくしく」
「メリィクリスマス」
「メリィクリスマス」
「メリィクリスマス」
M14「きよしこの夜」
「ありがとうございました!」
〜本編終了
アンコール
*たたみちゃんのテーマ(全員で)
〜
*まあるいせかい(セルフカヴァー)
ほんとうにお開きの時間。
すべてに、ひたすら感謝。
fin.
。。。。。。。。。。。。。。
(おまけ)
(本番ではぜんぜんきづいてなかった、四家さんのナイスな細かい芝居)
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『婦人・ド・ノエル 2016』全記録 (その5)
http://shibakusa.exblog.jp/25274278/
2017-02-02T22:50:00+09:00
2017-02-02T22:50:51+09:00
2017-02-02T21:58:00+09:00
reishibakusa
*婦人・ド・ノエル 2016 記録
→その1はこちら。
→その2はこちら。
→その3はこちら。
→その4はこちら。
〜暗転明け
ノエル婦人はピアノの前に立っている。
そーっと椅子に座り、ピアノの蓋をそーっと開けると、
鍵盤から花びらが大量にこぼれる。
戯れるように、時間をかけて丁寧に花びらを床に落とし、
改めて、鍵盤の上に指を乗せる。
ここで、今宵はじめて、ピアノの音が鳴る。
M8「千代さんの日記」
つづきかこちら。
↓
1曲歌い終わり、
おそらくもう、正気を取り戻しているノエル婦人。
ふと、自分が荒らしてしまったオケピット(もしくは舞台)に気づく。
譜面を拾ったりして、オーケストラの人々がちゃんと演奏できるように片付けていると、
コンサート本番用に身支度を整えた、
チェロ奏者(四家卯大)とトロンボーン奏者(東條あづさ)が、
いつの間にか戻ってきていて、ノエル婦人を手伝ってくれている。
ノエル婦人は、そのことに驚き、密かに感激している。
やがて、
演奏家たちは、それぞれ自分の定位置に向かう。
→オケチューニング音が鳴り始める:CDR出し
(予定でしたが、打ち合わせ不足により間に合わず、、←これ、わたくしのせい)
満席のオペラ座、
さあ、いよいよこれから、
イヴのコンサートが始まる!
M9 ”Real Life Hits”(カーラ・ブレイ:インスト曲 )
M10「雪」
M11「南米のノウゼンカズラ」
M12「おそうしき」
演奏はヒートアップしてゆき、ついにフィナーレへ。
次回、最終回。
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『婦人・ド・ノエル 2016』全記録 (その4)
http://shibakusa.exblog.jp/25273537/
2017-02-02T18:31:00+09:00
2017-02-02T18:31:48+09:00
2017-02-02T17:51:02+09:00
reishibakusa
*婦人・ド・ノエル 2016 記録
→その1はこちら。
→その2はこちら。
→その3はこちら。
映像の中に再度集結した”たたみさんたち”は、
ふいに、にこやかに手招きをして、
よれよれのノエル婦人の部屋着を脱がせ、ドレス姿に整えてくれる。
オルガンの音に、フルートの音色が加わり、
音楽がリズミカルに。
ノエル婦人と”たたみさんたち”は笑顔で、しばし、バロック風ダンスタイム。
音楽はさらに、いろいろな楽器が加わって、
ひとしきりにぎやかに響いたあと、
やがてゆっくりと叙情的に。
たたみさんたちは、祈るように、ベールを空に投げ上げる。
ノエル婦人は、ベールを見上げながら、
音の中にある、一筋の光を信じようとしている。
つづきはこちら
↓
”たたみさんたち”は、空から降ってきたなにかを手のひらに受ける。
そして、ノエル婦人に近づき、
頭のてっぺんに一瞬キスをしたあと、
急に照れてメガネを直しつつ、
それでも穏やかな表情で、ゆっくりとまわりながら消えてゆく。
ノエル婦人は、ひとり再びマイクに向かう。
オルガンの音だけが鳴っている。
M7 経年の桜
曲の終盤、桜の花びらが少しずつゆっくりと散り始める。
花びらは、やがて降りしきる雪のように、
止まない悲しみのように、または、その悲しみを覆い尽くそうとするかのように、
ただただやさしく、空から落ちてくる。
視界に 桜の老木が映る
岩のような幹から花の塊が
これでもか これでもかと ほとばしってる
これでもか これでもかと ほとばしってる
ほとばしってる
ノエル婦人は、手のひらに、なにかをにぎりしめていることに気づく。
指をそっと開くと、それは桜の花びらだった。
繰り返す鐘の音と、
降り続く花びらの中、暗転。
まだまだつづく。
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『婦人・ド・ノエル 2016』全記録 (その3)
http://shibakusa.exblog.jp/25268950/
2017-02-01T21:31:00+09:00
2017-02-01T22:50:17+09:00
2017-02-01T21:01:40+09:00
reishibakusa
*婦人・ド・ノエル 2016 記録
→その1はこちら。
→その2はこちら。
”たたみディグリーズ”はやがてひとりの”たたみさん”となり、
ステージ上のノエル婦人に向かって、
鏡を見ろ!鏡に自分の姿を写せ!
そして己の現実を見よ、と促す。
戸惑いながらも素直に鏡を見るノエル婦人。鏡の中には、妄想の中の若かりし美しい自分。
その自分にうっとりとしているノエル婦人に向かい、
Non!と首を横に振り、激しく否定する"たたみさん"。
そして、鏡をもう一度よく見てみろ、ときつく促す。
Non!
何がちがうの?と不思議に思いながらも、
もう一度鏡を見るノエル婦人。鏡の中にはやはり、妄想の中の若かりし華やかな自分。
つづきはこちら
↓
うっとりするノエル婦人と、首を横に振り、激しく否定し、
もう一度よく見てみろ、と促す"たたみさん"のシークエンス。
そして、ノエル婦人が改めて鏡の中に見たものは、
老いさらばえ、うつろな目をした今の自分だった。
自分が狂っていたこと、妄想の中に生きていたこと、
その背景に、あまりにも直視したくない現実があったことを一気に突きつけられ、
動揺、錯乱、やがて悲しみに暮れるノエル婦人。
それをただしずかに見つめる”たたみさん”。
”たたみさん”はやがて、おもむろに薄いベールをまとい、
おだやかな声で歌い出す。
M6 架空の聖歌
それにすがるように、つられるように、
声を重ねるノエル婦人。
いつしかオルガンの音が鳴り響き、ノエル婦人の心のつぶやきが、
何語でもない言語で次々に吐き出されてゆく。
それを淡々と翻訳する”たたみさん”。
”たたみさん”には、もうさきほどまでの険しさは無い。
現実 虚実 如実 苦悩 絶望 悲嘆 焦燥 苦悩
渇望 希望 切望 焦燥
渇望 薄明 切望 薄明
再起 祈り 音楽 音楽 音楽
つぶやきの果てに、音楽、のひとことが残る。
「音楽?」「そう、音楽よ」
まだつづく。
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『婦人・ド・ノエル 2016』全記録 (その2)
http://shibakusa.exblog.jp/25182749/
2017-01-17T19:24:00+09:00
2017-01-19T22:57:04+09:00
2017-01-17T18:40:24+09:00
reishibakusa
*婦人・ド・ノエル 2016 記録
『婦人・ド・ノエル 2016』全記録 (その1)はこちら→http://shibakusa.exblog.jp/25120821/
少し頭が混乱してきたノエル婦人。
けれど、その混乱の中でおもむろに、
M4 「あじさい」
各楽器が入り乱れ、
曲のエンディングが延々と続く中、ノエル婦人はだんだんうつらうつらしてゆく。
スクリーンに、ノエル婦人の脳内風景が映し出される。
~*映像3:”プリマドンナ”だった過去の妄想(無音)
(もうすっかり混濁している。喝采する満員の観客の前でドレスで歌い上げる自分、カーテンコールに応える若くてきれいな頃の自分、大勢のセレブなファンに囲まれる様子などに混じり、封印していた悲しい恋の記憶などがフラッシュバックしつつ、映像は徐々に狂気をはらんで来る)
続きはこちら。
↓
チェロ奏者(四家卯大)とトロンボーン奏者(東條あづさ)は、
ノエル婦人が眠ってしまったこのタイミングでこの場所から抜け出し、
楽屋に戻って、コンサート本番のための身支度など、いろいろな自分たちの準備をしたいのだが、
そうこうしているうちに、ノエル婦人は目を覚ましてしまい、
突然激しくアコーディオンをかき鳴らす。
M5 「青いドレスのブルース」
曲終わりで、
~*映像4:”大喝采〜(音あり)
(今まで、ノエル婦人の頭の中だけで鳴っていた大拍手が、急に現実のものとなる)
驚くチェロ奏者とトロンボーン奏者。
ノエル婦人だけが、嬉しそうにしている。
やがて、拍手をする大勢の人たちが、
黒いサングラスをかけた、無表情の”たたみディグリーズ(昨年のノエルライブでも登場)”に切り替わり、
チェロ奏者とトロンボーン奏者は、もうすっかりわけがわからず、
とうとう、ステージから逃げるように去ってしまった。
ノエル婦人は、自分によく似た女3人を見て、ただ不思議そうにしている。
”たたみディグリーズ”はやがてひとりになり、
ステージ上のノエル婦人に向かって、
鏡を見ろ!鏡に自分の姿を写せ!
そして己の現実を見よ、と促す。
つづく。
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『婦人・ド・ノエル 2016』全記録 (その1)
http://shibakusa.exblog.jp/25120821/
2017-01-03T21:25:00+09:00
2017-01-04T02:35:50+09:00
2017-01-03T18:35:31+09:00
reishibakusa
*婦人・ド・ノエル 2016 記録
遅ればせながら、『婦人・ド・ノエル 2016』全記録です。
当日、スタッフ、出演者全員に配布した構成表に加筆しながら、
たくさんの写真と共に、何度かに分けて、あの日のストーリーを綴って行こうと思います。
たぶん相当長くなります、
もしよろしければ、かなり気長におつき合いくださいましたら幸いでございます。
'16 12/24恵比寿天窓.switch柴草玲クリスマススペシャルライブ「婦人・ド・ノエル 2016」
出演:ノエル婦人/柴草玲 チェロ奏者/四家卯大 トロンボーン奏者/東條あづさ
フライヤー、チケット、コラージュ画像制作:小柳和久
映像総合制作:吉野達哉
音響:野口大志(恵比寿天窓.switch)
照明:清水麻沙里(恵比寿天窓.switch)
ご協力くださったスタッフの方々:
松村純一さん(映像出しその他いろいろ)はじめ、恵比寿天窓.switchのみなさま
ぺゑさん(桜の花びら制作その他いろいろ)
MACKIE(総合仕切りその他いろいろ)
.............................................
おそらくどこかのオペラ座開演前のオケピット。譜面台がたくさん並んでいる。今夜のコンサートに向けて、チェロ奏者(四家卯大さん)とトロンボーン奏者(東條あづささん)が、演奏予定曲の、気になる箇所をチェックしている。そこに、部屋着のような格好のノエル婦人(柴草)が枯れた花束を持って、ふらり、と現れる。彼女は、まだ空っぽの客席に向かって、何度もお辞儀をしたり、笑顔を振りまいたりしている。ノエル婦人は、このあたりでもちょっと有名な様子のおかしい老婦人であり、自分は過去、マリア・カラスのような世界的プリマドンナだったという妄想の中に生きている。(もしかしたら本当にそうだったのかもしれない)近所の人には、「プリマさん」とか、「トスカさん」などと呼ばれている。演奏家たちは、ノエル婦人が来たことに気づくが、特に珍しくもないので気にするでもなく、曲のチェックなどを続けている。やがて、「歌劇:トスカ」における有名なアリアの一節が演奏されたのをきっかけに、ノエル婦人が演奏家二人を激しく意識し、執拗に絡みだすこととなる。
(撮影:小柳和久氏)
続きはこちら。↓
ノエル婦人は、いやがる演奏家二人に無理やり伴奏させて、そのアリアを歌おうとする。チェロ奏者もトロンボーン奏者も、そんなことに付き合ってはいられないのだが、無視していると何をされるかわからないこともあり、しぶしぶ演奏してあげる。しかしノエル婦人は、アリアのクライマックスである高音の箇所が来ると、なにかしら理由をつけて突然中断、という行為を繰り返す。
すっかりうんざりした演奏家二人は、もう、ノエル婦人を相手にすることをやめ、それぞれの作業に戻るが、それを気に入らないノエル婦人が、”歌のようなもの”を叫んだり、暴れたりするため、困惑して四苦八苦しているうちに、なぜかいつしか、全員での熱い演奏が始まってしまう。
ノエル婦人の”歌のようなもの”は、混沌とした音の中で、わけのわからない言語から、徐々に日本語に変わってゆく。
M1「煉瓦のかぞえ唄」
歌い終わりと同時に、ノエル婦人の脳内風景が、スクリーンに映し出される。
~*映像1:”プリマドンナ”だった過去の妄想(無音)
(喝采する満員の観客、ドレスを着てカーテンコールに応える若くてきれいな頃の自分、大勢のセレブなファンに囲まれる様子、など)
ノエル婦人は、演奏家二人に、それはそれは華やかだった過去を、嬉しそうに、懐かしそうに、自慢げに、身振り手振りで話しているようだが、演奏家たちはまったく聞いていない。
話を聞いてくれないことに機嫌を損ねたノエル婦人は、抗議するように唸り出し、それはいつしか、一定のリズムを刻む、ハーモニーとなってゆく。
M2「ホテルおぎくぼ」(ルーパー使用)
ハーモニーの名残りが続く中、何かをさがすように急にさまよい出すノエル婦人。
オーケストラの団員の持ち物であるらしいアコーディオンを見つけてしまい、珍しそうに触っている。演奏家二人は、元の位置に戻すよう促すが、言うことを聞かない。
M3「微粒子」(アコーディオン使用)
歌い終わりと同時に、ノエル婦人の脳内風景が、再度スクリーンに映し出される。
*映像2:”プリマドンナ”だった過去の妄想続き(無音)
相変わらず華やかな過去の内容だが、時折、画像がやや乱れつつある。ノエル婦人は、演奏家たちに身振り手振りで昔話をしながらも、徐々に記憶が混濁してゆく。頭を痛そうに押さえたり、首をかしげたりするノエル婦人。演奏家二人は、そのことを特に気にしていない様子。
つづく。
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