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あるいは

フルボッコは、一年中雪に閉ざされた森奥深くに住む、
タヌキくらいの大きさの生き物かもしれない。
群れは成さないが、
家族を作り、ひっそりと木のうろや、地中に掘った穴などに暮らす。

鳴き声を聞いた者は滅多にいないが、
オーロラが出る晩、フルル、フルル、と鳴くと言われている。

全身を覆う固いその毛は銀色、とも、
ただの茶色、とも言われているがさだかでは無い。


一度、フルボッコの噂を聞いていた腕利きの狩人が、
今日こそは、と森へ出かけ、
クヌギの木のかげにいたフルボッコを見つけて追いつめ、
しとめようとしたら、
どこから集まって来たのか、
無数のフルボッコに囲まれたそうだ。


フルボッコたちは、何も言わず、何もせず、
ただ悲しそうな目をしていた。
悲しみの光は、ひたすら静かに、
さらに悲しく、徐々に鋭く色を帯び、
やがて雪に乱反射し始めた。

それ以上悲しく美しい光景はこの世に無かった。

狩人はしばらく呆然、いやむしろ恍惚としていたが、
ふいに我に帰り、銃も荷物も捨て、一目散に逃げ出した。

逃げる時にずいぶん転んだので、
村に帰り着いた時には、全身ケガだらけだった。


村人たちは驚いて、
「おめぇ、だれにやられただ?」
と聞いたが、
狩人は何も言わず震えて笑いながら泣くばかりだった。

それから、
彼は狩りを捨て、絵ばかり描くようになった。
フルボッコの絵だ。
口数は減り、絵は売らず、
金は無くなり、
妻も愛人も去って行った。

男は今夜も一人だ。

オーロラの晩になると、
フルボッコから逃げる時に顔に負った傷をそっと撫で、
甘い悲しみに酔う。
by reishibakusa | 2010-11-29 21:32

そんなに寒くは無いけれど

布団の中にいる。
布団の中は安心だ。
フルボッコにされる心配は無い。

ライブとか仕事とか関係無く、
宗教歌をひとつ覚えようとしている。
歌を新しく覚えるのは脳にいいんだょ。


ア ベ ヴェ ル

  ム

   コ


   ル

       プ


               ス


貫かれたその脇腹から
血と水を流し給いし方よ


優しき

 慈悲深き


      イエスピエ


ゆうちゅうぶ便利だなぁ。

ラテン語さっぱりわかんねー。

             
by reishibakusa | 2010-11-29 13:20

あるいはⅡ


フルボッコとは、想像ニンシンした女の腹の事かもしれない。

full-bocco.

女は男を愛した。
何ひとつ後悔は無い、それは最後まで変わらなかった。


男が淡水パールのブレスレットをプレゼントしてくれた事がある。
もらい物だか、何かの景品だったかしたらしいが、
それでも女は、その安物をずいぶん喜んで、
それはそれは大切にした。

ある夜、男はうっとりと、
いつか家族と過ごすための終の棲家の計画を話した。
女は黙って聞いていた。

男が帰ったあと、床についた女は、
身体の中で何かが弾ける夢を見た。


次の日からひどいつわりが始まった。


女はどんどん痩せて行った。

勤め先で、皆が心配したり、いぶかしげな視線を投げかけたりした。
けれど女はいっこうにかまわずにいた。

しばらくしたある日、久しぶりにやって来た男が、女の変わり様を見て驚き、
屈託無く聞いた。

「ダイエットでもしてるの?」

女は柔らかく微笑んで黙って男の手を取り、
自分の腹に当てた。

男はきょとんとしていたが、
やがてギョッとして女の手を振りほどき、
299,792,458m/sで夜空へ飛んで行ってしまった。
女が最後に見た男の姿は、
彗星のしっぽみたいなただのおぼろげな線だ。


やがてお腹が目立ち始め、どうもまわりが放っておいてくれないので、
会社へ行くのはやめた。

いいわ、私はフルボッコと一緒。


月日が経ち、女は、
大きなお腹を抱えて窓辺に座る。
西陽が木々を照らしている。

女はフルボッコに話しかける。

ね、陽が暮れてゆくわ。
イチョウっていう木が金色に光ってそりゃきれいなの。
赤いお手々はモミジよ。
カサコソ落ち葉が楽しそうね。

家賃はもう数ヶ月も滞納している。

さ、おゆうはん、何にしましょうか。
ママもあなたもしっかり食べなきゃ。

コンロに点火しようとする。
点かない。
とうとうガスも止められた。

あら、おかしいわ、
しゃがもうとしたその時、
あ、と思ったら破けた。

こぼれてゆく、
私のフルボッコ、
私の…

思わず足の間を両手で押さえる。

いやよ、行かないで。
行かないで、私のフルボッコ。

ああ、どうしよう。

痛みと、薄れてゆく意識の中で、
拍手のような音が鳴り響いている。

ぼやけた視界に広がるのは、白く砕ける波。
そして青。

やがて女は、床一面に散らばった大量の淡水パールの瞬きの中に、
ゆっくりと倒れてゆく。
by reishibakusa | 2010-11-28 22:27

寒いので

布団の中にいる。
布団の中は温かくて安全だ。

山川豊と鳥羽一郎が兄弟だった事を初めて知った。
芸名、鳥羽一郎と鳥羽二郎にすれば良かったのに。

松山千春さんのサポートのお仕事をしていた時、
「俺が紅白に出ないのにはな、ワケがあるんだ、
だって出たら家で紅白が見れないだろ?
それに、俺が出たら鳥羽一郎が出られなくなるだろ?」
とおっしゃっていて、可笑しかった。


外、雨?
と思ったら枯葉の音なんだね。
このあたりは森みたいなものだから。
by reishibakusa | 2010-11-28 18:16

フルボッコって言葉


よく知らなかったょ。
魚とか妖怪の名前みたいだね。
魚と言えば、雷魚はかっこいいよね、空気呼吸もできるしね。
昔住んでた町の川べりに、
大雨の後とか時々打ち上がってたよ。
雷魚はいいけど、魚雷はやだね。
あれはダメだ。
あれはやめてくれ。
やめろ。
やめろ!
by reishibakusa | 2010-11-28 01:29

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押し殺した声が、人のいない校舎に響いたよ。
by reishibakusa | 2010-11-27 21:27

すずらんテープ


すずらんテープは便利だな
段ボールをいくつも束ねられるし
チアポンポンにもなるんだよ
すずらんテープは便利だな
by reishibakusa | 2010-11-26 23:24

制作日誌68

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おおおおおっ!
宣伝用ポスター数十枚が無事に届きましたっ!!
こやなぎさん、どうもありがとうございました!

で、でかいっ。
ポスター作ったのは初めてです。
盛り上がるなぁ。
お願いして、貼って貼って貼りまくれ!!
by reishibakusa | 2010-11-26 17:45

じゅういちがつは


「過去に失ってしまったと思っていたものが不思議な形で戻って来る気配がある」
らしい、牡羊座の下半期の占いによると。
なんの事だか楽しみにしているのだが、
今のところ、特に「不思議な形の気配」は無い。

気付いていないだけなのかも。
by reishibakusa | 2010-11-25 21:26

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by reishibakusa | 2010-11-25 11:18

柴草玲(しばくされい):1968年4月1日生まれ。自称ミュージシャン。自称たたみ。身持ちは堅い。


by reishibakusa
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